融資期間を30年にすることでめっちゃくちゃ手取りが良くなることに気付いた俺はさっそく、童貞が如く鼻息を荒くしながら金融機関の担当者に条件を提示した。
奇しくも童貞だった期間が21年間だったので、木造の耐用年数に迫る勢いだったことに思い至った53さんであった。
ついに面談がスタートしたのである。
はじめての投資面談
53「本日はよろしく頼むよ君ぃ!」
信託銀行「こちらこそよろしくお願いいたします」
まずは和やかな挨拶からスタート。投資のための銀行面談は住宅ローンと違い、服装もチェックされるという噂を聞いていたので、バッチリスーツで臨んだ。
普段会社にはチノパンとT字のシャツで通勤するのに、有給の日にスーツを着る。ネクタイを結んだのも久しぶりすぎて長さがおかしい。
でも、スーツ姿の俺は格好良かった。融資面談の帰りにデートしたとしてもきっとうまくいくだろう。
信託銀行「それではお持ちいただいた資料を拝見してもよろしいですか」
53「ほらよ。しっかり読んでくれ君ぃ!」
信託銀行「・・・」
この時持ってきた資料は銀行から言われた資料以外にも次の2つに当てはまる資料なら自分で勝手に持っていっても構わないらしい。
「お前どんなやつやねんの資料」「今回の物件はどんなやつやねん」チェックされるのはようするにこの2つである。
53さんが持っていったお前どんなやつやねんの資料
・収入をみるための源泉徴収票3年分
・会社役員だったので、勤め先の決算書3年分(潰れそうな会社だと融資されない)
・勤め先の帝国データバンクの資料(これは銀行側があとから調べるけど担当者の手間を省くために)
・免許証(本人確認、異国のスパイとか宇宙人には融資できない)
・通帳のコピー(たくさんお金持っている方が銀行は安心する)
・保有株式の一覧(お金と同じ意味だけど現金の方がいいみたい)
・保険証書(積立てのやつなら解約返戻金も資産として見てもらえる)
・嫁が通帳持っているならそれも
・自宅のローン返済予定表(いくら借金あるのか正直に話す)
・自動車ローンの返済予定表(こっちも正直に話す)
・固定資産税の納税通知書(資産をもっているかと税金滞納してないかを見るんだと思うよ)
・この他にも個人の経歴書とかもまとめて持っていく人もいるみたい
この個人の資料を提出したときに聞かれたことは本業の会社のビジネスモデルだった。
俺は利益率が高い商材を扱っていること、参入障壁が高くて大手が入ってきにくいこと、商品にリピート性があり、賞味期限も長いので在庫が過剰になりにくいことなどを話、原価を下げるために会社が取り組んでいること、広告費を下げるためにとりくんでいることなどを説明した。
このへんの説明は本業で人材募集するときに説明するので慣れている。ようはこの先も末長く潰れないよい会社ですよ~ば~か!という話をすればいいだけど。
帝国データバンクの資料と決算書をもとに説明するので説得力もあるしね。
信託銀行「ところで全く異業種のようですが、なぜ賃貸業を?」
53「うるせぇ!バカ!なんとなく儲かりそうだからだよ!」
などと、本当のことを言ってはいけない。
あと、どの本にも書いてるけど、「不動産投資」という言葉はご法度らしい。「不動産賃貸業」と言わないといけないんだって。
なんとなく「投資」という言葉の中に投機的、ギャンブル的要素を含むかららしい。
このへんは慣用句だと思って深く考えずに従っております。
なぜならお金を貸してほしくて仕方ないからです笑
ちなみに俺はさきほどの異業種なのになぜ不動産を?って部分は本業との共通点を強調して答えた。
「今勤めている会社では初期投資としてオリジナル商品に多額の費用を投入します。商品がリピート性があるものなので、少しずつをそれを販売して初期費用を回収していくビジネスモデルなんですが、これって不動産賃貸業と似ていると思ったのです。取り扱っている商品そのものは違いますが、ストック性のあるビジネスとしては共通しており、広告費のかけ方など、いまの仕事で学んだスキルを不動産業にも活かせると思っています」
やっぱり銀行としてはなんらかの形で不動産賃貸業に関わっている人の方が安心できるようだ。当たり前だけど笑
ま、就職面接と同じだよね。まともな人間であることを装えばいい。
ちなみに、この答えは異業種でもできますよという回答にしかなっていないので、なんで不動産なの?って答えにはなっていない。
「いろんなストックビジネスの中でも不動産を選んだのは、子供の頃からの憧れがあります。実家が貧しくて、昔から漠然と『素敵な住まい』というものに憧れがあり、テレビでリフォームによるビフォア・アフターや無料の賃貸雑誌などの間取りを延々と眺めたり・・・家が好きなんですよね。自分が住む家は一つしか持てませんが、自分が素敵だと思える物件を複数作ってそれを人に貸して喜んでもらえたらすごい楽しそうだなって・・・」
・・・みたいな嘘を適当に話した\(^o^)/
53さんが持ち込んだどんな物件やねんの資料
・事業計画書(不動産会社が用意してくれた資料を改造して53さんが作成)
※これはこの記事の物件じゃないやつ。
・土地の不動産概要書(不動産会社からもらったそのままのやつ)
・土地の登記簿謄本(不動産会社からもらう)
・土地の地積測量図(不動産会社からもらう)
・平面図、間取り図(新築アパートの工務店からもらう)
・家賃査定(最低近隣の3社くらいから)
銀行としてはこのプロジェクトに貸して大丈夫なのかい?ってのを確認したい。
土地の値段はもしも俺が破綻したときに売却したらいくらになるのかを知りたいし、建物がクソ高いと破綻せずに回収できのか?心配だから確認したい。
家賃も適当に工務店が売りたいがために設定した家賃じゃないの?って思われないようにしっかりと仲介会社さんに確認したいところ。
ちなみに仲介会社さんとしては新築は彼らが儲ける武器が増えるわけだから結構好意的で、協力してくれる。
それに建築後は管理も任せてもらえるかもしれないから、こちらが丁寧に接すれば丁寧に対応してくれる。
俺は受話器ごしに土下座して家賃査定してもらったり、どんな間取りがうけるかとかいろいろ聞いてみたよ。
この聞き取った情報が銀行面談でも役に立つんだよね。
この融資面談で買おうとしてたエリアは単身世帯とファミリーが半々という地域だったので、単身者受けにこんな設備いれますとか、仕様はこうしますみたいな話を仲介屋さんに教えてもらった通り銀行で話したよ笑
はじめての融資の結果発表!!
ここで諸条件を確認しておきましょう。
53さんが出せるお金はMAX3000万円
物件の価格は8400万諸費用込み
内訳は・・・
土地の値段3000万
建物5000万
諸費用400万
希望融資額8000万(最低でも5400万)
期間30年
金利1%
希望通り通れば毎年200万円(税引前)の収入が手に入ることになる。
4000万円分米国株買うのと一緒やん!(一緒ちゃうけど)
一気に資産形成が楽になるし、もしも諸費用400万円だけで済むなら、3000万円持っているわけやから、同じアパート7等建てられる!
そしたら7棟×200万で給料以外に1400万の収入が実現するから、会社になにかあろうと、社長と喧嘩しようと無敵の状態やん!!
様々な妄想が脳内を駆け巡り、全身の毛が逆勃っていた。3週間程度でお返事しますってことだったんだけど、仕事中もソワソワして、口で「ソワソワ」って発音するくらいソワソワしてた。
だって、これが買えるかどうかで、人生変わるやん。
そして・・・
3週間が経った・・・・
昼休みに俺がいつものように一風堂でラーメンをすすっているとスマホの画面に大手信託銀行の表示が!
口に含んでいたラーメンを噛まずに無理やり飲み込み、半ばむせながら電話にでる。
53「もしもし!!」
信託銀行「おまたせしました。仮ですが結果がでましたのでお知らせいたします」
俺はラーメンを食べていた箸を置いて、荷物もそのままにして一旦店をでる。目があった店員に手刀でごめんなさいのポーズを取りながらスマホを耳に押し当てて話を聞いた。
店の前を通過するうるさい自動車のエンジン音に舌打ちしたい気持ちだったが、結果を聞きたくて逸る気持ちが勝った。
信託銀行「金利ですが、1.2%となりました。あと団信に入っていただきますので0.2%さらに上がります。」
53「え、1%じゃなかったんですか・・・。団信も入ると1.4%になるってことですか」
信託銀行「はい、そのようになります。」
53「・・・・」
ちょっとこれは予想外だった。自信満々に1%言うたやん\(^o^)/
ちなみに1%から1.4%になると手取り200万の予定が183万に減ってしまう。
ま、まだ183万あるなら良い方か。
ここは仕方ない。ほかに貸してくれる銀行もないんだし仕方ない・・・。
信託銀行「それから融資期間ですが・・・申し訳ありません。当行はやはり木造の耐用年数の22年となります。」
53「え、30年無理ですか!?30年も可能性があるようなお話でしたよね?」
信託銀行「前例が無いことも無いのですが、耐用年数を超える融資期間は金融庁からもいろいろ指導がございまして」
53「・・・・」
おいおいおい!
最初いけなくもないみたいな話やったやん!
稟議書にも30年て書いてくれたんだけど、それは担当者の希望ってだけで本部がダメーと言えば駄目らしい。
本部はだいたい意地悪です笑
劣化対策等級2級とって30年にしてって交渉したけど、駄目な銀行は駄目らしい。
劣化対策等級2級以上で30年融資する銀行があるんだけど、どの銀行でもOKというわけではないことを知った。
劣化対策等級の話はまたいつか記事にします。
・・・1.4%の22年だと年間の手取り87万円にしかならない。。。
自己資金が400万円で済めば21.9%の回収率だから5年かぁ・・・。
まぁ悪くないんだけど、米国株の1700万円分にしかならないな・・・。
これってどうなん?
微妙なんじゃない?
このプロジェクト続けていいのかな。
信託銀行「それから融資金額ですが・・・申し訳ありません。当行の判断としては4500万となります。」
53「は?」
信託銀行「4500万です」
53「買えませんよね。それって・・・」
信託銀行「本部審査で53様が買おうとされている地域が人口流出地域であるという結果が出まして・・・。それで悪い印象がついてしまいました。申し訳ありません」
53「・・・」
8400万円の物件に4500万しか貸してもらえない。俺は3000万円しか持っていない。
つまり・・・
解散!!!
手取りがどうとか関係なし!
買えません!
融資は実質おりませんでした。
こうして俺の初めての融資面談は失敗に終わった。
うまくいったことばかりが書籍やブログで語られるけど、これだけ詳細にうまく行かなかった報告ってあんまりないでしょ?笑
でも俺はここから次のことを学ぶことができた。
・物件が遠隔地だと金融機関が限られてしまう
・大手は金利は安いけど、自己資金を多く求めてくる
というわけでここから俺の大阪での物件探しと、金融機関の開拓が始まりますが、いったんこのシリーズは終了です。
2019年12月20日に新築アパートの融資が大阪の金融機関でつくまでの物語を記事にしていこうと思うんだけど、最初のこの融資の結果が出たのは6月の末くらい。不動産をはじめようと決意したのは4月の末だから2ヶ月くらいの期間で起きた出来事だった。
もうええわ
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