前回の記事の続きです。
前回の記事↓
コロナウィルスの影響で?建築費の値上がり(8200万→1億円)を告げられた俺は、決済日である3月末までに新たな工務店を探すことを余儀なくされていたのであった。
元の工務店より安い工務店が見つかればそこで建築すればいいし、見つからなくてもコロナのせいにして追加融資を求めることができるかもしれない。
何もしないでぼーっとしているだけでしたけど、値上がりしたので追加融資お願いしまーすって銀行にお願いしてもぶっ飛ばされるに決まっている。
オーナーとしてやるべきことはやらないといけない。
ただ、もともとの工務店を探す時もけっこう苦労してようやく安いところを見つけたし、なかなか個人は相手にされないんだよね。
果たして新しい工務店は見つかるのだろうかという不安が俺にのしかかってくる。
あぁ、婚活中の男女もこんな気持で生涯の伴侶をさがしているに違いない・・・。
わかるよ。その不安。
ブスの気持ちすごくわかる。
工務店をネットで探すときのキーワードは・・・
「アパート 建築」とかで検索すると、だいたいは大手やら建売アパートメーカーが出てきて、俺が求めている工務店が出てこない。
かと言って「アパート 建築 美人」とかだと更に難しい。
大手のシステマチックな感じのとこじゃなくて、もっと親方と数人の大工でやっているようなところが望ましい。
ネットで家電製品を探すのであれば「格安」とか「激安」とか「指名料無料」「新人」「人妻」とかで調べたら安いところが見つかるけど、アパートメーカーや工務店は基本的に眺めていても高いのか安いのかわからない。
「適正価格」って買いてあるところはきっと高いんだろうな笑とか、ネットサーフィンをするも最近のGoogleさんときたら全然ほしい情報をくれないので、ますます工務店探しは難航するのであった。
まるで実在しない王子様を探す婚活女性の気持ちである。本当に俺が求めている工務店は存在するのかって気持ちになってくる。
安くて、品質がよくて、美人の親方・・・。
やみくもに検索してもだめだと思った俺は安い工務店ってどんなところだろうと考えた。
そもそも高い建築会社や大手は仕事を自分たちでとるけど、実際の仕事は下請けにさせてピンハネするからどんどん高くなるのだろう。
つまり一番下請けの工務店に接触できれば、必然的に大手に頼むより安くなるはずだ。
俺は親指の指紋が消えるくらい来る日も来る日もスマホで探し続けた。
タウンページを使うという脳みそはなかった。
いろんなキーワードを検索窓に打ってみるんだけど、同じ様なサイトばかり繰り返しでてきて見つからない。
いよいよ煮詰まってきたなというある日のことだった。
何気に朝の散歩をしていると大手のアパートメーカーの建築現場を通りかかった。
「こんなところで新しいアパート勃つんだ。こんな大手に依頼できるなんてさぞかし金持ちの地主なんだろうね。ボケが・・・」
嫉妬の炎に身を焦がしつつその場をさろうとした時である。
作業用のトラックが朝早いにもかかわらず現場にキキーっと到着したのだ。
そのトラックの台車のサイド部分に次のように書かれていた
「建築請負 ○○工務店」
その文字を見た時、俺の身体に電流が走った!
たぶん加齢による電流であろう。
俺は朝のウォーキングをしながらヌポッっとスマホを取り出すと、歩きスマホ状態でGoogleの検索窓に入力する
「大阪 建築請負 アパート」
この黄金のキーワードでついに俺は目当ての工務店を見つけることができた。
そこには「レ○パレス」「大○建託」のアパートの建築請負をしているという情報が書かれていたのだ。
大手の下請けの工務店をついに!ついに見つけた!!
本業は営業マンだから飛び込みは得意なんだ
俺はさっそく工務店に電話をかけた。
工務店「はい。○○工務店です」
53「あの、かくかくしかじかで工務店を探しておりまして、融資も通ってますし、土地の契約も済んでいます。アパート図面もありますので見積もりをお願いできませんか!」
工務店「なるほど。それでは一度資料を送ってもらえますか?」
やったーー!!!!
いきなり思い立ったときに電話できるのは営業マンならではである。
けっこうこれができない人いるよね。新規開拓している人なら息をするようにできるけど、事務メインの人なんかは突然電話したりができないらしい。
これは自分にとってアドバンテージだと思う。
理系の人のように緻密な計算はできないけれど、電話でも訪問でも突撃できる能力は不動産賃貸業では大いに役に勃つ。
やはり日々の本業での活動は無駄ではなかった。ネットでは社畜乙みたいな風潮があるけど、厳しい社畜生活によって身につくスキルはどんな時でも自分を助けてくれるのだ。
ちなみに電話で工務店を探すときのポイントとして意識しているの次の通りだ
・ゆっくり話す(聞こえないことで伝わらないことがけっこうある)
・信用される丁寧な言葉使い
・融資の有無、契約済みかどうか、簡易な図面があるかどうか
→せっかく見積もりだしても空振りということになりませんよというアピールである。
工務店を探す以外でも使える簡単なポイントなので、ぜひ意識してみてほしい。
そして工務店には断られました\(^o^)/
ええええ!!
俺の営業マンとしてのコミュニケーションスキル全く役に勃ってないやん。
めちゃくちゃ語ってしまったやん。自分の優位性とか、コツとか!
しかも断れた理由は・・・
怪しいから笑
ちょっとーww
営業マンとして一番あかんやんww
信用される喋り方したのにww
一見さんだし、誰かの紹介でも無い限り無理だってさw
辛すぎるww
工務店開拓まじでむずいわ・・・・w
しかし53さんはこれで諦めるような並の営業マンではないのである
紹介ならいいわけでしょ?
明らかにここの工務店は安い。
おそらく俺の運命を変える工務店に違いない。
あの暴利を貪る会社が下請けに使っているところなわけだから、それはもう値段を叩きまくっているはずだ。その原価で俺がアパートを勃てることができたら!
俺のサイドエフェクト(勘)がここと付き合えと言っている!
仮に今回のアパートが無理だとしても取引銀行経由で紹介してもらえる可能性だってあるかもしれない。
俺はとりあえず今後のことを考えて、挨拶だけでも行くことにした。
駅でポップアップストアみたいな和菓子店ができていたので、そこで饅頭を15個ほど買った。
饅頭は日持ちしないので、相手も受け取るのを断りにくいだろう。
仮に受け取りを拒否されたら俺は饅頭を15個食べないといけなくなる。
決死の覚悟を饅頭にこめて、俺は工務店のあるビルに飛び込み、担当の人をお願いした。
アポ無しで工務店突撃である。
さっきまで電話で喋っていたから、今日は担当者が事務所にいることはわかっている。
担当者が出てくるまでの間ドキドキして饅頭を抱えて俺は待っていた。
他の大家さんもきっとこういう饅頭のドキドキ体験を経て、理想の工務店を見つけているのだろう。
担当者が現れた。
頑固。
めちゃくちゃ頑固な顔をしているおじいちゃんだった。
さっきまで寿司を握っていましたと言われても信じるわってくらい眉間にシワを寄せて難しい顔をしている。
あー・・・・むすっとしてるww
これはめちゃくちゃ怒られるかもしれない(´;ω;`)
53「あ、あの!さきほどはお忙しいところお電話ありがとうございました!一見さんはお断りということでしたので、せめてご挨拶だけでもさせてもらおうと思いまして、まだ不動産賃貸業はじめたばっかりで怪しい男だと思われたと思いますが、えっと、今後この事業を進めていくのに御社はきっとなくてはならないお取引様になると感じておりまして、その、すぐではなくて構わないので先々でぜひお取引お願いできませんでしょうか!!」
こんなふうなことを饅頭さしだして土下座せんばかりの勢いで頭を下げてお願いした。
工務店さん「・・・・53さんやったね。まぁお入り」
53「え!あの!ご挨拶だけのつもりだったんですが・・よろしいんですか!!」
工務店さん「あの図面見せてもらったけど、防火扉が必要なんちゃうかな、それから屋根やけどあのサイズやと特注になるから値段が上がってしまうので、こういう形にして・・・」
寿司屋の工務店のおじいちゃんは優しかった。
素人の俺にもわかりやすく、丁寧に、コストを下げるにはどうすればいいか、今の図面の問題点なども説明してくれた。
一度電話で断った相手がアポ無しでやってきて、めちゃくちゃ迷惑に違いないのに、信じられないくらい親切にしてくれる。
あぁ、職人さんて温かい人が多いな。
俺はここまで人に親切にしてきただろうか。これからは本業のときにメーカーが飛び込んできても優しく丁寧に対応しよう。
俺は打ち合わせ中、涙が出そうになったんだけど、汗を拭うふりをしてハンカチでそっとごまかした。
そんな優しいおじいちゃんに現状の見積もりが9000万であると俺は思いっきり嘘をついて、なんとか値段を安くしようと企んだ。本当は1億である。
工務店さん「ん~・・・・。9000万か。税込みで?」
53「はい。税込みです!」
工務店さん「社長に一回相談してみる。53さんちょっと一週間ほど待ってくれるか。わしの勘ではなんとか収まると思う」
53「ほんとうですか!!ありがとうございます!ありがとうございます!」
俺は荷物が多い。
でも、あの日思い切って工務店さんに飛び込み営業をしたおかげで、担当者に優しく対応をしてもらえた。
営業の仕事をしているとそういうことがよくある。
もう日が暮れはじめて、あと1軒回ろうかどうしようか。
挨拶くらい行っておこうか。
そう悩むときに思い切って訪問することで思わぬ売上につながることがある。
営業マンだとそういう経験は一度はみんなあるだろう。
電話でも諦めず、饅頭もって飛び込むことで一見さんお断りの工務店から見積もりをもらうことができたのだ。
人生に無駄なことなどない。
努力は必ずいつか自分へと返ってくる。
そして後日見積もりが届いた。
1億500万円とのことだった。
高なっとるやないか。饅頭返せよ。
もうええわ
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