ムカつくことがあった。
子供が通っているスイミング教室で、非常ベルが突如鳴り響いた。
慌てて、駆けつけた係員。
「どなたか非常ベルを押されましたか?」
キョロキョロと辺りを見回す大人たち、きょとんとしている子どもたち。
諦めて係員が立ち去ろうとした、その時。
「この子が押していました」
意地悪そうなババァが指差す方向にはいかにもやんちゃそうな髪型の子供がいた。
係員はため息をつき、無線で誰かに連絡をする
「お子さんがあやまって非常ボタンを押してしまったようです・・・」
「あやまって押したんじゃありません。この子は悪戯で押したんです。ぼく、お母さんいないの?お父さんは?まったく親は何をしているのかしら」
係員が気をつかって「間違えて押してしまった」ことにしようとしたしたのに、ババァは大勢の人々の前で、それを否定し、子供の悪事を鬼の首をとったみたいに声高に宣伝した。
なるほど・・・。
子供が悪いことしたら、それを叱らなくてはいけない。それは大人の役目かもしれない。
でもその前に・・・
ババァ!押すとこ見てたなら止めろやー。
押したあとに現場を発見したなら、「これは教えてはいけないのよ」って教えてあげたらええねん。
あとからやってきた親にはびびって注意できないくせに、正義ぶって子供を弾劾する手口を許せん。
何かも親が教えないといけないわけじゃなくて、機会があれば地域の大人が教えてあげればいいと思う。
これはもちろん親がやるべき責任を放棄していいとかそんな話ではない。俺は自分の娘が非常ベルを知っているかどうかを確認するために見せてみたが、やっぱりまだ知らなかった。
「あれは火事の時しか押したらあかんねんで」と子供に教えると、あそこにも同じものがある、あそこにもあると次々に俺が気付いていない非常ベルをみつけて喜んでいた。遊び半分かもしれないが、ちゃんと丁寧に教えればやってはいけないことは子供にはきちんと伝わるのである。
まだ幼稚園くらいの子供なら非常ベルを知らない子がいても全然おかしくないわけで、それを教えるチャンスがあったのに、吊るしあげるとか何考えてんねん。
自分の子がいかに優秀か、それを育て上げた自分の教育法がいかに素晴らしいかみたいな、親同士の子供を使った代理戦争のような風潮を感じる時があるけど、「悪戯した子の親は何してんねん」とか言う前に、小さな子供は学校や社会全体で啓蒙していくべきなんじゃないですかねー。
それはそうと北海道の男の子、早く見つかるといいな。